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背景 Link to heading

2025/5月に US 企業の社内異動で東京からダブリン (アイルランド) に転勤をしました。初の海外引越で色々と大変だったことがあったため、誰かの役に立つかな、と思いブログにまとめていきます。専門家ではなく、自分の体験談であるため税金やイミグレーション、金融に係ることはあくまで参考程度にしてもらえればと思います。

プロフィール Link to heading

  • 留学経験・海外居住経験なし
  • エンジニア系ロール、男性
  • 既婚、妻もエンジニア系ロールで同じようなプロフィールで二人で移住予定

タイムライン Link to heading

各項目については次以降のセクションにまとめる予定ですがざっくりと以下のようなタイムラインで出国をしました。

  • 2025/2月末: 社内異動のためのインタビュー
  • 2025/3月上旬: オファー
  • 2025/3月中旬: 出国・入国の税金調整準備開始, work permit (Critical Skills Employment Permit - CSEP) 取得プロセス開始
  • 2025/4月上旬: CSEP 発行
  • 2025/4月 - 5月下旬: 諸手続き (家の売却・ものの処分・銀行証券口座の手続きなど)
  • 2025/5月下旬 - ダブリン滞在場所の決定・出国
  • 2025/6月上旬 - 勤務開始

自分に関しては、オファーから勤務開始まで3ヶ月程度と比較的ゆとりを持ったスケジュールにしてもらえたため、必要な準備は一通り行えた方と思う。ただ、家の売買に関してはかなりタイトなスケジュールにも関わらず、買い主の方が幸いこちらに合わせたスケジュールで動いてくださったため、なんとか間に合ったという感じだった(仲介業者の方と買主さんに恵まれました、本当に感謝です)

オファーまで Link to heading

社内異動ではあるものの、自分の場合は異動前後で別のロールになったため面接を行ってオファーをもらった。国をまたいだ移動になるため、引っ越し代や、一時的な住居の金額を補填するためのリロケーションボーナスをオファーレター発行のタイミングで確約してもらった。 企業やロール、ジョブレベルにもよるかと思うが、大きな会社であれば同様にリロケーションボーナス(パッケージ)が提供されるかと思う。

なお、アイルランドは US とは違い、社外からでもビザを発行が可能(US のように H1B ビザ抽選リスクがない)。そのため今回の自分のような社内異動ではなくとも、一般公募されているロールに社外からアプライしても採用・移住サポートがしてくれる可能性があり、US に比べるとビザ面では移住ハードルが低いと思う。

インタビューに関しては、自分のロールに関連する内容を上手く話せるように、想定されるインタビューのパターンについて、英語で説明する練習をずっとしていた。オファーが出たときはとてもとても嬉しかった。

イミグレーション Link to heading

Critical Skills Employment Permit (CSEP) Link to heading

テック企業でのエンジニアであれば自分と同様 Critical Skills Employment Permit (CSEP) での採用になるかと思う。日本国籍であれば、アイルランドの90日以内の滞在にはビザが必要ないが、労働のために work permit が必要となる。

CSEP で入国した場合は、入国後に移民局で居住登録 IRP を90日以内に行う必要がある。この CSEP 所持者の配偶者も、IRP 発行後は労働許可されるため、配偶者は CSEP なしでも働くことも可能。

申請作業 Link to heading

自分の場合は申請作業は会社契約の immigration support の vendor が代行してくれたため、時間がかかったのは書類集め(大学での成績賞-英語表記, 戸籍, オファーレターなど) くらい。 出国時に合わせて書類を断舎離するために scansnap をメルカリで買っていたが、この scansnap は CSEP の発行準備や税金書類の作成にも大活躍だったのでおすすめ。 一度集めた書類はスキャンして保持しておけば賃貸申し込みなど他の機会でも使えたため便利だった。 また、戸籍は婚姻証明の代わりとして提出する必要があるが、戸籍の英訳作業はベンダー側で実施してくれたため、追加の翻訳依頼も不要だった(名前のよみがなが間違えて翻訳されたことがあったため、自分でダブルチェックは必須)

揃えた書類

  • 大学・大学院の修了証明書、受講科目リスト、成績証明書
  • 戸籍謄本
  • パスポート (過去のパスポート含む)
  • オファーレター
  • 証明写真 (CSEP にプリントされるだけなので、自宅でスマホカメラで問題なし)

タイムライン Link to heading

ざっくりと見積もって申請に必要な書類集め、フォーム提出に1-2週間、申請から発行までは3-4日程度で非常に迅速だった。US ビザの発行には大使館に行って面接をする必要があるという記事を読んだことがあるが、今回のアイルランド work permit の申請はすべてオンラインで進めることができたため比較的負荷は少なかったと思う。

配偶者の扱い Link to heading

妻に関しては、もともとは CSEP 配偶者として入国し、その後現地で職探しをする予定であった。しかし、嬉しいことに入国前にオファーをもらえたため、妻自身も別で CSEP を取得する流れに途中から切り替えた。 ただ CSEP が降りるまでは基本的にアイルランドに入国することは推奨されない1 ということをギリギリのタイミングで知り、CSEP 発行が完了していない妻は数ヶ月遅れてアイルランド入国となった。 航空機のチケットを少し高くてもスケジュールを変更できるものにしておいたおかげでなんとかなったが、基本的には旅程を立てるのは work permit 発行完了後、または担当ベンダー等に確認した上で進めるのが良いかと思う。

税金処理 Link to heading

オファーレターを受け取った後、こちらも会社の提携でで日本、アイルランド双方の税金サポートを税理法人にしてもらった。credit, relief(税控除)や double taxation (二重課税) など、普段聞いたことのない税金用語を口頭で説明してもらった際に内容が理解できず、かなり最初は苦戦した。 英会話において、色んな分野の語彙を知っていかなければなぁと痛感する良い機会ではあった。

ポイントはそれぞれの国ごとに以下:

日本 Link to heading

  1. 地方税、国税双方の納税管理人を設定
  2. 出国タイミングに応じて、住民税の残代金を精算
  3. RSU がある場合は日本国内で Grant された株に対して課税される。

納税管理人の設定は書面となり、管理人のサイン・印鑑が必要で時間がかかるので、早めに取り掛かった方が良い。 また、手続きは行っていないが 3 がかなり面倒そうな印象をうける。。。日本出国後も vest された株が日本国内で grant されたものである場合、確定申告をし続けることになるようだ。一般的には 4年かけて vest されることが多いと思うので、4年間確定申告が必要ということになる。税理士ではないため、具体的な計算方法についてはここでは割愛する。

また、住居を持っている場合は固定資産税も支払う必要があるため、日本で税通知を受け取れる人を設定しておくことが必要(納税管理人)。東京都の場合は 6月頭に固定資産税の通知が行われるよう。ref

アイルランド Link to heading

こちらは入国前に特に手続きはなかったものの、アイルランドでは non-dom (non domiciled - 非アイルランド国籍) に対しては課税ルールが異なるため、投資分野で色々工夫している人がいる模様。offshore funds で reddit で検索すると課税対象にならない投資を行うために奮闘しているポストが見られる。

Tax efficient investment options for non-doms in Ireland?

基本的に日本よりもさらに税率が高く、日本での資産、日本で発生したキャピタルゲインにも課税される場合があるので細かく調べたほうがよさそうな印象を受けた。特に deemed disposal と呼ばれる課税ルールでは 5年ごとに保持する ETF のキャピタルゲインが売却されたものとして課税2されるようで、アイルランド国内で投資をするのは難しそうな印象を受けた。

What’s the problem with Deemed Disposal?

また RSU が日本で二重課税された場合は double taxation reliefとして税控除ができるとのことだった。

アイルランド入国後には PPSN (Persoanl Public Service Number) という日本のマイナンバー的なものを発行してもらう必要がある。

なお、特定の人にしか該当しないが、以下のような tax relief があるらしい:

  1. Split-year treatment -> アイルランドに初年度 tax resident となる場合、入国開始日以降の収入に対して税金を課税するようにする(これがないと二重課税になるので当たり前のような気もする)。
  2. SARP (Special Assignee Relief Program) -> expat 向けの tax relief で特定の条件に該当する場合、課税率を 5年間下げることができる。社内異動限定の tax relief のため、新しくアイルランドの会社で現地就職した場合は対象外。

アイルランド入国後の income に関してはアイルランドに着金した段階で3課税が行われる (remittance basis) 特に、銀行口座に入国前に貯蓄した資産 (capital - 課税対象ではない) と入国後の income (課税対象) が混ざっている口座(mixed funds account)から送金された場合は、まずは income から送金したとみなされて課税されるらしいので、口座を事前に分けることを推奨された。

Any remittances out of an account containing capital and income are treated as first coming out of the income part of the fund until such income is fully remitted (see the tax case of Scottish Provident Institution v Allen – 4 TC 409).

ref: revenue.ie - remittance basis

年金 Link to heading

基礎年金(国民年金) Link to heading

基礎年金に任意加入するか否か問題。ネットでは厚生年金の社会保険料の高さに対して批判がよく見受けられるが、任意加入の基礎年金に関してはそこまで高額な印象を受けなかったため加入した。また、現時点では仮に受給タイミングで海外にいても受け取りが可能らしく、これも任意加入を選択した理由の一つ。 窓口で付加給付というオプションについても説明を受けたが月 500 円弱追加給付すると、3年目以降の給付でもとが取れてしまうというお得制度だったのでついでに加入をした。クレカ払いもできるため、一度設定してしまえば特に手間はかからないので、日本の年金にお金をいれることに抵抗がない人はやっておくと良いと思った。

任意継続には年金事務所に行き、書面での手続きが必要。退職証明書を提示する必要があるらしく、日本出国後に退職する場合は事前に会社から証明書を発行して貰う必要がある。

確定拠出年金(ideco) Link to heading

確定拠出年金に加入している場合は、ideco に移管し運用指図者になる必要がある。自分の場合は出国タイミングが日本オフィスの退職日より前であったため、事前に確定拠出年金を管理している会社に問い合わせ、移管書類を取り寄せ、提出だけ出国のタイミングで行った。

銀行・証券 Link to heading

銀行、証券口座共に手続きには時間がかかることがあるため、出国前1ヶ月あたりには問い合わせる必要がある。また、アプリからの取引や MFA が制限される場合があり、その場合はワンタイムパスワードカードを発行する必要がある。ワンタイムパスワードカードは郵送で送られてくるため、時間に余裕を持って申請をする必要がある。

銀行 Link to heading

日本非居住者になると多くの銀行からは口座解約を求められる。確認できた範囲で振込のできる口座の保持を許可してくれたのはプレスティア(SMBC信託銀行) と、ソニー銀行で、この二つは出国前に新しく口座を開いた。

他三菱UFJも振り込みできないものの、クレジットカードなどの引き落とし口座として利用する分には問題なく、非居住者としての口座保持を許諾してもらうことができた。ソニー銀行・プレスティアには対応していない引き落とし元などはしばしばあるため、メガバンクを一つ持って置けるのはかなりありがたく感じた。 この辺りは銀行によってかなり対応が違うようなので窓口で確認する必要があった。

なお、三菱UFJ はインターネット上には詳細手続き概要が載っていない。

証券口座 Link to heading

基本的に投資信託は非居住者保持ができないため、一般口座、特定口座共に売却を求められる(個別株は所持していないため不明)。ただ、NISA口座だけは特例で5年以内であれば口座を保持し続けることができるようで、5年経過のタイミングで強制売却になるとのことだった。

金融機関・銀行によって外資企業の社内転籍を転勤として認めてくれるか否か、が対応が異なるため先に必要な書類と、何があれば転勤として扱ってもらえるのかを確認しておくとよいかと思う。なお日本の会社をやめて海外の別の現地企業に採用される場合は転勤として扱ってもらうことができないため、取れる選択肢はかなり限られるかと考えられる。

以下も事例としては参考になるかと思う。

住宅の売却 Link to heading

海外転勤になる場合、一般的に所有する住宅に関しては以下選択肢がある。

  • 売却
  • 空のままにしておく
  • 賃貸に出す(特例)

社内転勤の場合、特例で3つ目のように住宅ローンのまま賃貸にできることがあるが、自分の場合銀行に相談したところ賃貸に出すことは許可されなかった(悲しい)。交渉の余地はまったくなかったので、勤務先が日本企業ではなかったことが原因のように思われる。 住宅を空にしておくのは金銭的にも、メンテナンス的にも厳しいものがあるため、今回は売却の選択肢を取ることにした。 売却決定を決めたタイミングが3月中旬であったため、出国まで2ヶ月強しかなかったものの、仲介業者の方と買い手の方に恵まれてなんとか出国前に売却することができた。

オファーを貰った直後は賃貸に出せると思っていたため、時間的に余裕がある気持ちになっていたが、いざ銀行に行って実質売却の選択肢しかないと知らされたときは冷や汗たらたらになった。絶対に間に合わないと思い、初期は出国後の売却も覚悟していたのでなんとかなって本当に良かった。

売却益が出た場合、3000万控除を利用する場合は海外転勤であっても翌年の確定申告が必要なため、書類はすべてスキャンしておいた。 なお、売却後は日本に住所がなくなったため数日間成田空港の近くに滞在をした。東京のホテルは高すぎる。。。

物の処分 Link to heading

そこそこな大きさがあるものはメルカリを利用し、小物であるが粗大ゴミになりそうなものはジモティーで譲渡をした。 家具家電などは全て早い段階で譲渡してしまうと不便であるため、洗濯機や冷蔵庫は引き渡し1週間前あたりからメルカリに出した。 出品開始がやや遅すぎたようで値下げを繰り返すことになってしまい、家電の発送も引き渡し前ギリギリになってしまいかなり焦った。もしもう一度同じような場面があるならば早めに出品して、購入者とタイミングを調整して取引をしようかと思う。

サラッと書いたけれど、全てのものを処分する引っ越しはこれまで経験がなく、使えるのに捨てなければならないものがたくさんあったため、捨てても捨てても処分が終わらず、なかなか悲しい気持ちになった。

荷物の発送 Link to heading

発送方法 Link to heading

今回の引っ越しは全て自分で手配する必要があったため、以下の選択肢を考慮した。

  1. 日通、ヤマトなどの海外転勤引越しサービス
  2. 自力で飛行機で運ぶ
  3. 国際郵便 → 船便 10kg 10000 円前後 (EMS は二倍程度)

自分たちは荷物をスーツケースだけでは運べなかったため、1,3 を検討した。

1に関しては、残念ながらパック料金で比較的手頃なプランはロンドンやベルリンなど日本人が比較的多そうな都市限定で、ダブリンは範囲外とのことであった。

そのため、個別で上記の引越し会社に問い合わせを行い、見積もりの依頼を行った。結果、費用は自分で郵便を送る場合の数倍程度であったため、今回は国際郵便にてダンボールで発送することにした。 注意点として、アイルランドに荷物を発送する際は taric codeという、品目ごとの項目をリストにした伝票を作る必要がある。

アイルランドあての物品などを包有する郵便物の送付について

この作業が思ったよりも大変で、1日がかりでパッキングとリスト作成を行なった。自分はアイルランド郵便局 An Post のコード検索 TARIC Commodity Code Finder を利用したが、正しいコードなのか確信は持てていない。。。

梱包 Link to heading

初めはメルカリの発送に利用していた段ボールを流用しようとしたが、大きさに対してフルで物を入れると、そこが抜けそうになってしまったため海外郵便用の段ボールを買い直した。

5枚で7000円程度と高額だったものの、かなり頑丈で安心感があった。海外運送向けのWフルートのダンボールは必須。 結果的に夫婦2人で12kgのダンボールx4に梱包をした。

なお、到着時に税金(VAT) を払う必要があるようなので、税金を払いたくない場合は relief from Customs Duty and Value-Added Tax (VAT) の手続きが必要らしい。ただ、この tax relief は書類を荷物到着港の税関に出す必要があるようで、個人で郵便として引っ越し荷物を発送する場合は利用できない可能性がありそう。

When completing your Declaration form, you should note that articles of used clothing and toiletries do not have to be listed individually. They can just be listed as personal belongings. Items of value should be listed with an estimated value (current market value).

You should email this information to the relevant email address of the port or airport you intend to import your goods into:

住居探し(アイルランド) Link to heading

ダブリンの古くからある家はこんな感じ。

場所 Link to heading

オファーが決まってからは社内でダブリンに住んでいる同僚数人に 1on1 をしてもらい、場所の説明や雰囲気、利便性について教えてもらった。どの方も非常に優しくて感謝しかなかった。ダブリンはいろいろな地域の出身の方がいるので、前に居住していた地域がどんな場所であったかによって住んでいる場所の評価もかなり変わるかと思う。(どの人もこれまで住んだ場所との相対評価でしか基本的に住心地は判断できないため。)

土地勘がない状態でリスクを取るのはやや怖かったため、自分は River Liffey 南側の治安が良いと言われるエリア(Dublin 2, 4, 6… などの偶数)に絞って物件探しをすることにした。

こちらは同僚にシェアしてもらった記事、ざっくりと場所の雰囲気について知るのに役に立った。 The Safest and Unsafest Areas of Dublin: What We Should Know

契約までの流れ Link to heading

いろいろな記事で書かれているようにダブリンは現在住宅難らしく、異動先のチームメイトにも「住宅難で家探しがかなり大変だが、本当に異動先がダブリンで大丈夫か?」と警告をされた。。。笑

実際他の会社の同僚からも、内見を20回してやっと決まった、など大変そうなエピソードを聞いていたため、サービスアパートメントを1ヶ月強借りて、その間に家探しをするプランを立てた。

ただ最終的には、ラッキーなことに社内のツテでオーナーに繋いでもらうことができた。紆余曲折あったのち、そのオーナーから長期賃貸(Long term rental)を契約させてもらうことができたため、入国前に住所が決まっているというベストな状態で引っ越すことができた4。もし社内転勤ではなく、現地就職をする場合でも勤務先の Hiring Manager などに相談して、何らかの方法で家探しを手伝ってもらえないかヘルプを求めるのが良いかと思う。

なお、家探しは通常 daft.ie というアイルランドのスーモのようなもの使われるようである。自分の場合は入国前から探していたため、社内のツテのみで家探しをした。(入国前に家探しをすると deposit 詐欺などがよく発生するらしいのが daft.ie を直接使わなかった理由)

タイムラインはこんな感じ:

4月下旬

  • サービスアパートメントを仮予約

5月上旬

  • サービスアパートメントが高いため、短期賃貸をしてくれるオーナーを社内のツテで探し始める

5月中旬

  • よさそうな long term rental を社内で発見、現地にいる同僚にお願いしたところ代理での内見をしてくれた。
  • すでに6組の申し込みが入っていることからオーナーに該当の long term rental は断られ、代わりに別の部屋の short term rental (3ヶ月程度 - 月2500 EUR)を勧められる。日本円に換算すると高い、、、が、サービスアパートメントに比べれば圧倒的に安かったため、申し込みを入れる
  • 翌日他の申込者の方がすでに deposit を支払い、該当のlong term rentalは申し込み不可になったことを知る。落ち込む。次以降はすぐに deposit 支払いの意思を見せて銀行口座を教えてもらうように即座に連絡するように心に決めた。
  • その翌日、再びオーナーから連絡があり、初期に申し込んでいた long term rental の申し込み者から連絡がないため、再び契約可能になったとのこと。すぐに契約すれば自分に貸してくれるとのことだったので、必要書類(自身の CSEP, 妻と自分のオファーレター, パスポート) を急いでメールで送付。
  • その後、契約書をメールで受け取り、すぐにサインをし、同時に wise 経由でオーナーの銀行に IBAN を利用して振り込んだ。Long term が契約可能になったと通知を受けてから契約完了(deposit の送金)まで、わずか1時間のメールのやり取りで、たまたま起きている時間に連絡をもらえたこともあり、運良く賃貸を確保できた。
  • 不要になったため、事前に仮予約していたサービスアパートメントの予約キャンセル。

申し込みの際には deposit をすぐに支払えるように wise アカウントを作成し、事前にお金を入れておくと良い。自分は入金していない状態で、日本の銀行営業時間外だったため、仕方なくデビットカードで wise に振込をした(デビットカード経由の場合入金手数料がかかる)。

また、書類は全て pdf にしてすぐに共有できるようにしておくと、他の候補者に競り負けしにくい。

サービスアパートメントは賃貸の2-3倍程度の金額であったため、借りられるか否かでかなり金銭負担が変わってくる状況であった。そのため、long term 断られ → short term 申し込み → short term 申し込み競り負け → long term 申し込み勝ち取りの間はローラーコースターのような気持ちでハラハラだった…

オーナーとは whatsapp で連絡を取ることが多いようなので、こちらも事前にインストールしアカウントを作っておくと良いかと思う。

ポイント

  • 必要書類を事前に用意し、PDF にしておく
  • 申し込み用のメールテンプレートを用意
  • 国外から申し込む場合は deposit をすぐ支払えるように wise の口座に数十万円程度入金しておく (知人のツテではない場合詐欺の可能性があるため、通常は入国後に探した方が良いらしい。ちゃんと内見を設定してくれるオーナーは詐欺の確率が低いので、特に必ず内見に行って決めることを推奨された)

生活費の送金方法 Link to heading

最初は EUR が手元になく、税率も高くなってしまい手取りが額面の半分程度になってしまう (Emergency tax rate)、さらに、日本の口座からはアイルランド含め投資の継続ができないため、そこそこの金額を日本の銀行から送金する必要があった。

非居住者からの海外送金(仕向送金)が許可されている銀行口座は Prestia のみのため、Prestia or 他の手段、での比較が必要になる。役に立ったのはこちらの reddit の wiki - Finance Japan。日本に住む Expat 向けの wiki のようでお金や税金周りの tips がよくまとまっている。

ポイントは送金費用 = 送金手数料 + 為替手数料となり、為替手数料が占める割合が大きくなりがちということ。

他以下の post も参考になった。

Prestia Link to heading

  • 送金手数料自体はステータスを上げることで安くなるが為替手数料が占める割合が大きく、どの金額帯でも wise よりも手数料が高い印象。
  • ただ、外貨積立をすると、為替手数料無しで外貨口座に積み立てることができるようで、これを活用するならば手数料は抑えられる。ただ、積立なので、毎月定額 EUR を入れる必要があり、かつ積立停止のためには郵送での手続きが必要そうなので、海外居住中に活用するのは難しいと判断した。

wise Link to heading

  • 手数料は安くはないが、Prestia の海外送金よりは安く、着金も早く手軽。
  • 上で記載したように家賃の支払いなどにも利用できるので便利。
  • 非居住者になってから海外送金するためには、日本居住時に送金元の銀行に wise の口座を登録する必要がある。(例えば Prestia は非居住者になってからは新規送金先を登録するのに時間がかかるため)

上記を踏まえてメインでは wise での送金を利用することにした。他の選択肢としては Revolut も似たように送金ができるようではあるが、送金手数料がタイミングによって異なるようだ。送金方法の検討にこれ以上リソースを取られたくなかったため、そこそこの手数料の wise をメインで利用することにした。 また、入国後に気づいたことであるが Revolut はアイルランド国内で発行するとアイルランド国内の銀行口座番号を持つことができるようなので、日本で Revolut アカウントを作らず正解だったかも。

なお、日本出国前に海外に口座を保持している場合は、ソニー銀行の仕向送金がかなり良さそうに見える。 今回はアイルランド現地の銀行口座が保持できるのが、日本出国後(= 日本非居住者になってから) のため、ソニー銀行による送金は利用できなかった。 国外 -> 日本 -> 国外、のような動きで、海外帰国前に日本円を送金しておきたい場合はソニー銀行がベストなのかなという印象。

また、以前は IBKR を利用して送金をすることで手数料を大幅に抑えることができたらしいが、現在は IBKR が IBSJ (日本ローカル仕様) に変わったことから、この手段は取れないらしい。方法が無数にありすぎて最適解がよくわからず結構悩んだが結局王道に落ち着いた。

EDIT September 2024: IBKR no longer offers the hybrid IBSJ (JP) + IBLLC (US) accounts. As a result, using IBKR just for international ACH transfers is no longer possible.

その他諸手続き Link to heading

  • 転出届: 出国前最終週に行った。戸籍や印鑑証明は転出後は取れなくなってしまうので、取っておくと良い。またマイナンバーカードは手続きをすれば所持し続けられるようになっていた。(知らなかった)
  • 郵便転送届: 手紙などは実家に転送するようにした。1年毎の更新が必要なようなので、忘れないようにカレンダーに登録した。
  • 免許証: 出国前に更新しておくことができる (ref) また国際免許証も念のため取得した。
  • 在留届: 外務省のページから事前にオンライン届出をした。ついでに外務省の安全のしおりも読んでおいた。
  • 医療: 麻疹風疹の数値が低下していたため、追加で MR ワクチンを自費接種した。自費でも1万円前後なのでやっておいてよかったと思う。
  • SIM: three.ie で 20EUR/month の 無制限プランの eSIM を購入できたため、まずはこれを利用してみる予定。なお eSIM は現地の空港の Wi-Fi で有効化しようとしてうまくいかなかったパターンが数回あるため、出国前に有効化しておいたほうが良いかも。今のところ大きな問題はないものの、日本で利用していた povo よりも接続が不安定でよく途切れる印象がある。
  • Apple account の扱い: 一部のアプリを入れるには Apple account の登録国をアイルランドに移す必要があるが、この方法は手間がかかる上に日本のアプリが利用できなくなるため困る。調べたところ、Reddit では現地のアカウントを別に作り、App Store の Region だけを変更することが推奨されていたため、そちらの方法で問題なく対応できた。Moving to a new country is a terrible experience on iPhone あとで別記事に記載。

感想 Link to heading

自分が感じていたことを思い出せるようにストーリー調で書こうかと思っていたが、文章を書くのが苦手なためドキュメントのようになってしまった、無念。

出国に際して Link to heading

準備に取り掛かって初めて、「海外に出るためには日本においていた生活拠点やリソースをそこそこ無くさなけいけない」ということの実感を得た。最初は日本に戻りたいと思ったら、そのときにまた考えればいいや、位に考えていたものの、予想以上に生活の拠点となる国を変えることに伴う手間とコストが大きく、日本に戻るということもかなりの労力を要するだろうなと思った。(あとアイルランドと日本の距離が離れすぎていて、直通便がないのは結構しんどい) 転籍に際して色々考えてはいたものの、すべての面で正確にメリット・デメリットを検討しようとすると正直不安だらけになって、どこにも移動はできなくなってしまうかと思うので、最後は思い切りで決めた。歳を重ねるほど、こういう大きな変化は色々と難しくなってしまうだろう、という気持ちもあったため、チャレンジするなら今の年齢が思い切りだけで進められるラストだと思っていた。

妻は CSEP の関係で遅れて合流するため、成田空港からは一人での出国となった。自分は日本生まれ日本育ちで、留学経験含め国外に一人で滞在した経験が人生で一度もなく、この転勤の最初数ヶ月が初めて一人で海外に滞在する機会になったため、しんみりすると同時に、やっていけるのかとても緊張と不安があった。

準備の焦り Link to heading

出国までの時期は細かいタスクを進めているとあっという間で、最後の1-2週間は朝から晩まで最後の手続きと準備をしていた。 残った書類手続き、家の引き渡しに向けたものの処分、アイルランドでの滞在場所の確保が同時に襲ってきた際はてんてこ舞いだった。自分が定住できる場所があるというのは心理的に安心できるための重要な要素なのだなぁという普段の生活では得られない気づきがあった。 郵送が絡むプロセスになると往復で 2 週間 - 3 週間程度かかることもある。普段は書面手続きを急いで行うことはほぼないが、出国日というタイムリミットが決まっている状況で郵送で手続きをする際にかなりの焦りがあった。何個かの手続きでは書面郵送が出国前最終週になってしまい、コールセンターに問い合わせをして速達での郵送をお願いした、対応してくれた方に感謝です。

タスクが無数にあったため、自分は notion の Sprint board を使って期間ごとに必要なタスクを管理していた。カテゴリー分けなどをするのは少し面倒だが、終わったときに board が空になるのは気持ち的に達成感があったためおすすめです。

まとめ Link to heading

次に国をまたいだ引っ越しをする際は、もう少し上手にできるようになれたらいいな、と思います。アイルランド入国後余裕があれば入国編の記事も書こうかな。

追記:こちらに入国後のまとめを書きました - アイルランド入国編


  1. work permit 発行中に不法労働しようとしていることを疑われるリスクがあるため ↩︎

  2. 当然取得価格はその時点のものとしてリセットされる ↩︎

  3. 厳密には着金だけでなくアイルランドに関わる全てに関与したタイミング? ↩︎

  4. アイルランドでは 3ヶ月程度の短期間 Short-term rental も結構あるようで、最初は 3ヶ月程度短めに借りてから Long term rental にうつるのでもよいのかもしれない ↩︎